年の離れた厳しい上司
自分よりもひと回りもふた回りも年が離れている上司と仕事をしています。
私の業界は、売れる人と売れない人とで年収の差が激しく、居続けるのが難しいと言われています。それもあってか日々、叱咤激励を受けていますが、時には心底なんでそんな言い方をするんだと思う時もあります。
業界で生き残った猛者と仕事ができるのは貴重な体験だと思っていますが、将来の目標のためだと割り切れない位になるときもありますし、いつか気持ちだけで乗り切れない時がくるんだろうなと思っています。
そんな時に自分を支えてくれる後ろ盾が欲しいと思い、前から気になっていた株式会社識学の代表の安藤広大さんの著書『リーダーの仮面』を読みました。
著者の安藤さんは、「識学」でおなじみの株式会社識学の代表の方です。
「識学」とは、組織内の誤解や錯覚がどのように発生し、どうすれば解決できるか、その方法を明らかにした学問です。
さっそく冒頭の言葉に惹き寄せられました。
会社のマネジメントは"リーダーの言動"ですべて決まります。
いいリーダーの言葉は、「時間差」で遅れて効いてきます。
部下やスタッフを持つと、これまでの仕事の延長ではなくなり、まったく別次元の能力が必要になる
しかしながら、リーダーには才能は要らないと言います。
考え方を身に着け、頭を切り替えるだけで良い、それだけで元々リーダータイプだった人を超えるいいリーダーになれる。
リーダーの仕事を明確に定義しています。
リーダーの1つの大きなゴールは、部下を成長させてチームの成果を最大化させること。
優秀な人ほど犯す2つの失敗
プレイヤーとリーダーには求められる能力が異なり、優秀な人ほど犯すこの2つの間違いがあると言います。
①手取り足取り指導する人
②部下についてこさせようとする人
どちらも最悪だと言います。前者はメンバーが思考停止して、成長しません。後者はリーダーとしての責任を放棄して、役割を果たせていないからです。
安藤さん曰く、プレイヤーとして優秀だった方ほど、このどちらかのパターンに陥りがちだと言います。
本書のマネジメント方法を超シンプルに言うと、リーダーとして焦点を充てる事を絞り、それ以外のことは任せる。見守る。待つ。スルーするという方法です。カリスマ性も人間的魅力も不要です。
この5つのポイントに絞ってマネジメントをします。
マネジメントの5つのポイント
①ルール
②位置
③利益
④結果
⑤成長
行動の規範になり、5つのポイントだけを見て他のことを考えないようにすることを、本書では、「仮面をかぶる」と表現されています。(これでタイトルの意味がわかりましたね)
ポイントを抑えた声がけをし、ルールを設定、評価をしてメンバーが最終的に成長するのが良いリーダーです。
そして、良いリーダーは日頃の小さなズレを見過ごしません。だから上司は小さい事まで厳しくチェックするのですね。これをスルーしてしまうと部下は良いと思ってしまいます。小言が多い上司はリーダーとして優秀なのです。
仮面は自分を守ってくれる
このマネジメントをするために素顔を抑え、仮面をかぶる。こうすることでリーダータイプの性格でなくてもマネジメントはできる。リーダーの役割を果たすために仮面があるのです。
優しい言葉をかけて、その場だけ「いい人だ」と思ってもらっても、その言葉は、頭に残りませんし、後から効いてもきません。
仮面は、リーダーである自分を守ってもくれます。人間関係の衝突をなくす盾となり、他人からの攻撃を受け流してくれるのです。役割を遂行するためのキャラクターを使い分けているので、リーダーの仮面をかぶって仕事を進めて、人から嫌われたとしても、自分の人格が否定されたわけではないからです。
もっとも人間を追求したマネジメント
識学の考え方はよく知らない人が表面だけを取り上げて、非人間的だ、軍隊みたいで嫌だと言われることがあるそうです。そして驚くことに安藤さんは、これを認めています。
「人を人と思って組織運営をすると、人のためにならない」という哲学があるからなんです。いったん人として扱うのを止めたほうが、人はむしろ成長するという逆説的な真実がある。
仕事は仲良くやることが目的ではありません。本人が成長できずに食いっぱぐれるのがもっともダメなことだと言います。つまり、非人間的なことなのです。
この瞬間、社長がいなくなったり、会社がなくなったりしたときに、どの組織にいた人間がいちばん生き残れるか?どういうリーダーの下にいた人間が次の環境に適応できるか?そこにコミットすることが、リーダーが部下に対して本来やらなければいけないことです。
子育てであれば、親がいなくなっても大丈夫なように育てるのが大事です。
この例えには痺れました。
親はいつまでも生きているわけではありません。子どもがかわいいからこそ、厳しく育てなければならないのですね。
そんな安藤さんが目指す組織は、本当に自分の脳みそを使わざるを得ない環境。
これからの著書にも期待したいです。
まとめ
本書を読んで印象に残ったのは、「組織には無駄がない方がいい」「ロスは少ない方がいい」と考えてしまうのは賛成しておらず、将来的に速度が上がるための経験であれば、時間を使っても良いという発想でした。ここには感情を排除した合理とともに人間味を感じました。
答えを与える組織は、結果として速度が遅くなります。部下が成長しないので、長い目で見ると速度は落ちるのです。
より深く識学を理解したい方はもちろんのこと、マネジメントが苦手な方、また仮面という言葉がなぜ用いられているのかが気になる方はぜひ読んでみてください。なんであの人は厳しいのかと思ったらこの本を読んで、その後に、好き嫌いは横に置いて良いリーダーなのかという観点からその人を見て欲しいと思います。
この本はプレイヤーの時に読んでもマネジメントをする側で読んでも学びの多い本ですい。
自分自身も母校の進路支援団体でリーダーという立場ですし、学生を指南する役割もあるので軸を持ち「思いつき」で何かを言ったりすることを減らしていきたいです。
とはいえ、この本を単独で実行しようとすると組織での軋轢は避けられないと思います。個人として取り入れようとするのはハードルが高いです。リーダーになるための参考として、厳しい上司の捉え方を変えるための本として推奨します。
この本を読んでリーダーをやりたいと思うようになりました。
出世をしないと辛くなる現実に目を向けるべき、と記されていてプレイヤーのままでは30代を終えると代替可能な存在になると書かれており、マネジメント能力を身に着けたいからです。
それに、リーダーというのは何も役職や立場のみならず、リーダーシップを発揮する時はあります。そんな時のひとつの方法論として読んでおいて良かったと思える日が来るかも知れません。
リーダーになろうと一度決意を新たにしただけでは意味がないので、噛み砕けるまで読もうと思います。
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